こんにちは。
今回はフランスの貯蓄事情、特に教育資金についてです。
息子が産まれてから、フランスでは子供が成人するまでいくらかかるのか、フランス人はどのようにして教育資金を準備しているのかなど、私なりに調べたり周りにリサーチしたりするようになりました。
その内容を共有したいと思います。
フランスの子育て費用はいくらかかる?
まず、フランスの子育てにはどのくらいのお金がかかるのかを見ていきます。
フランスでは1人の子どもが生まれてから大学卒業するまでにかかる費用は約200,000€(約3200万円)が平均のようです。対して日本では約3000万円必要と言われています。
費用の内訳は、両国とも大体同じで、食費から衣服、学校にかかる費用などです。学校にかかる費用は学費の他に、低年齢のうちは保育料、大きくなってくると給食、遠足日、学校用品、交通費などで、年齢によって変化していきます。
色んな研究者や調査機関が調べているので結果も様々で、低所得世帯と高所得世帯では教育にかけるお金も違うし、学校は公立か私立かによっても大きく異なるので、上記はあくまで平均値。でも、意外だったのは両国とも大きな差が無かったところです。イメージ的にフランスの方が学費が安く、全体の費用も低いと想像していたからです。
フランスの学費
フランス 保育園の料金
まず、フランスの保育園事情について。
フランスでは、Crècheと呼ばれる日本の保育園に相当するところに0歳から(施設によって、生後2カ月半からや生後6か月からというところが多い)子供を預けることができます。ただし、フランスでは2019年から義務教育が3歳からになり、3歳になる年の9月からは全員がEcole maternelleという施設へ通学します(日本の幼稚園のようなイメージ)。
なので、Crècheに預けるのは3歳になる年の8月までです。個別保育や一時保育のシステムなど、Crècheの他にも保育システムの種類は色々存在しますが、今回は最も一般的なCrècheの料金について紹介します。
Crècheの料金は世帯収入によって変動します。対象となる世帯収入は直近のものではなく2年前(N⁻2年)の収入を基に計算されます。今年2025年の保育料は2023年の世帯収入から計算されるという具合です。また、子供の数によっても料金は変動します。
例えば…
月収4500€の世帯が第一子を9時間/日、週5日預けた場合、約500€/月の保育料となります。
大まかな計算をしてくれるサイトを見つけたので参考までにリンクを貼っておきます。
息子はまだ通っていないので我が家の詳細な料金は未確定なのですが、週3回預けようと思っており保育料はおよそ250~300€/月くらいと予想しています。
私たちの場合、2年前(2023年)は子供もおらず夫婦2人ともフルタイムで働いており、フランスに来て一番世帯収入が高かった年です。なので、その年の収入で計算された保育料を、収入の減った今年(2025年)の保育料として支払うのは家計的には痛いところではありますが、やはり子供が居ては日中何もできないし体力も持たない!そして息子が他の子供や家庭以外の環境に慣れるのためにもいい機会と考えています。
幸い、フランスでは早くて生後2カ月から預ける家庭も珍しくないので息子をCrècheに預けることは義家族含め周りから反対されることはなく、我が家はCrècheへの入園を迷わず決めました。
ちなみにフランスでも待機児童問題は深刻ですが、我が家はド田舎中のド田舎なので運よくスムーズに登録ができました。
Crècheには公立と私立が存在し、やはり公立の方が倍率は高いようです。我が家がお世話になるのは私立なので、尚更入りやすかったのかもしれません。
いずれにしてもCAF (Caisse des Allocations Familiales)という機関から補助があるので料金は大きくは変わらないはずです。CAFは出産手当や児童手当など家族に関わる手当を管理している機関です。
実際に息子が通い始めたら、Crècheの感想や実際どのくらいの料金になったかなど体験を改めて共有しますね。
フランス 小学校・中学校・高校の費用
フランスの小学校・中学校・高校は学費は公立校であれば無料です。
フランス政府の調査によると、1年間に学校関連でかかる費用は小学生580€、中学生890€、高校生1,160です。約10年前の調査結果のため現在の物価高騰で増加している可能性もあります。また、ここでの「小学生」は保育園の項目で紹介した日本の幼稚園にあたるEcole maternelleも含んでいます。
その他の費用としては給食費や学習用品、遠足費、課外活動費、交通費などでです。
フランスらしいと思ったのはGarderieというサービスの費用です。日本の学童保育のようなものですが、フランスのGarderieは学校の送り迎えも担います。
フランスは日本のように小学生が子供だけで登下校したり、鍵っ子がいたりというのはあり得ません。そんなことできるような治安ではありません。
しかし、核家族で共働きが一般的、かつ一人親も多いフランスで、毎日学校まで送り迎えをするのが不可能な家庭は多いです。そんな時にGarderieに依頼し、学校の送り迎えと親が帰宅するまでの子守りをお願いするのです。これは特に子供が小学生の時に必要になる家庭が多いです。
今回、自分で調べるまではフランスの方が学校にかかる出費が少なそうと思っていました。体操服代や制服代など、日本にはあってフランスには無い(私立など一部を除く)出費があるからです。しかし、上記のGarderieのように、フランスだから発生する出費もあるのですね。
ちなみに、姪っ子(義姉の子2人)は小学生。義母が義姉宅から徒歩5分のところに住んでいるのでGarderieは利用せず義母が送り迎えを助けています。
また、フランスの学校では学校で給食を食べるか、お昼にいったん帰って自宅でお昼を食べるか選べるようで姪っ子たちは一旦帰宅しています。
なので、お昼も義母が学校に迎えに行き、お昼を食べさせてからまた学校に送るという生活をしています。こうして家族が協力してくれる場合は恵まれていますが、、そうでない場合はお金を払ってサービスを利用しないといけないので結構な出費になりますね。
遠足や旅行は高校生は小学生より頻度は低いが1回の費用が高くなったり、新学期用品も年齢が上がるにつれ掛ける金額も上がったり交通費がかかったりする傾向にあるため、中学、高校と進級するにつれ費用が上がっているようです。
ちなみにフランスの義務教育は3歳から中学卒業までです。
フランス 大学の学費
フランスは日本に比べて公立大学の割合が多いです。大体70~80%が公立で、多くの生徒が公立に進みます。
公立大学の場合、フランスもしくは特定の国籍(EU、スイスなど)の生徒は学費の大部分をフランス政府が負担するため日本に比べると学費は低いです。2024/2025年度の学費は以下の通りです。
- 学士課程1年間で175€
- 修士課程1年間で250€
- 博士課程1年間で391€
この記事を書いている2025年5月現在は大体1€₌160円なので、博士課程でも1年間で62,560円、と日本の感覚からすると破格ですよね。
親にとって教育費用で一番ネックになるのは大学費用の捻出ではないでしょうか。その側面だけ考えればフランスの公立大学の学費は魅力的です。
ただ、大学進学後は家を出る子供が多いため学費以外の費用が大きくなります。住居費は平均550€(パリだと800€以上)かかり、その他に交通費、食費、レジャー費、通信費などです。
フランスは大学入試制度はなく、高校卒業時のバカロレア試験に合格するれば大学入学が可能です。授業料が破格なら、さぞかし大学進学率は高いだろうと思うかもしれませんが64%で、日本の58%(両データとも2016年)と大きな差はありません。進学率には他の要因も関わっているでしょうが、費用の面も進路を左右する大きな要因となっていそうです。
フランス 教育資金の準備方法
息子が生まれたのを機にフランスでの教育資金・子供の将来のためのお金の準備方法を調べ始めました。
日本では学資保険や定期預金、投資信託などが浮かびますがフランスではどうなのでしょうか。
フランスでの保険商品や株式投資、富裕層では不動産投資など様々な選択がありますが、広く一般的なのはLivret Aという銀行口座でした。
Livret A (リブレ・アー)とは
Livret A (リブレ・アー)はフランス政府によって運用されている預金口座で、高金利で利息は非課税であることが特徴です。
運用方法、金利、限度額などが政府によって決定されており、どの銀行でも同じ条件で開設できます。ただし、個人の場合は1人1口座のみの保有です。
いつでも出し入れできて、1回の預金額も自分で決められるのは日本の預金口座と似ていますが、高金利で利息は所得税と社会保険料が免除されるのが特徴です。
金利は毎年変わり2025年6月現在は2.4%です。金利は毎年2月と8月に見直され、実は徐々に下がってきています。
なので、Livret A はあまり効果的な預金ではなくなっているという意見もありますが、日本の預金口座の金利が約0.3%というのを考えると日本人の感覚からするとまだ高金利と言えるのではないでしょうか。低リスクという観点からもやはりまだ根強い人気を持っている預金方法です。
最低10€から上限の22,950€まで預け入れできます。
利息は毎月1日と16日に計算され、最終的にはその年の利息がまとめて12月31日に自分のLivret A の口座に振り込まれます。金利は毎年2月と8月に見直されます。
例えば、1月1日の時点で上限の22,950€が口座にありその年は引き出しをしなかった場合、12月31日に約550€が振り込まれるという計算です。何もしなくてもそれくらいの額が入ってくるなら悪くないですよね。
また、利息分は上限に含まれないため、福利(この場合550€)で22,950€以上にすることが可能です。なので、できるだけ上限に近い金額を入金しておいてその後は手を付けずにいれば、福利の額も年々増える(金利が下がらなければ)ということです。
資産運用方法は投資・貯蓄に回せる資金がどの蔵あるか、何を求めるか、などそれぞれの状況によって最善案は違うでしょう。
結果的に、金利は下がっているとはいえ今の私たちにはLivret Aが合っているという結論に至り、息子名義のLivret Aの口座を開設し、毎月定額が夫の口座から振り込まれるようにしました。
ちなみに教育資金以外の目的でも多くの人が持っているこのLivret Aの口座。夫も私も各々保有していて、こちらは毎月定額ではなく、余裕のある時に無理のない金額を自分の普通口座からLivret Aの口座に移しています。ちなみに両口座間でお金を動かす際にも手数料はかかりません。
まとめ
日本から見たフランスは、子育てにお金がかからない国と思われているかもしれません。
確かに制度的にも社会的にも子育てしやすいと感じる瞬間はあるし、子供は宝という世間の雰囲気も感じます。
しかし、周りのフランス人と話していても、メディアからの情報でも「子供を持つと負担が増える」と考えられていることは間違いありません。
実際に2024年のフランスの出生数(1人の女性が生涯で生む子どもの数)は1.62と、ピーク時2010年の2.02からは大きく下降しています。日本の1.15に比べると高いし、ヨーロッパの中では最高水準なので、日本よりは子供を持ちやすい環境なのかもしれませんが、何の抵抗もなく子供を持てる「子育ての理想郷」という訳でもありません。
勿論、初産年齢の高齢化や価値観の多様化など、子育て費用の面だけが出生数に影響しているけではないですが、子育ての資金面での不安を可能な限りの減らすために、できる時にできる範囲で資金確保しておかなければと思っています。
いずれ日本で生活する可能性もあるので、日本での教育資金用意も別途しておきたいところ。
今、フランスに住んでいて日本で契約するにはいろんな制約がありますが、また何か新しい発見や情報があれば共有した良いと思います。
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