フランス 退職の手続き方法と退職時に受け取れるお金について

こんにちは。

前回の記事で4月末で今まで働いていたレストランを退職したと書きましたが、今回はそれに伴う手続きをご紹介したいと思います。

退職時の状況・条件

まず、私がどんな状況・条件で退職したかをまとめます。この内容によっては手続きや失業保険受給の条件が変わりますので、あくまで私の場合の手続きの経験を紹介します。

  • 勤続1年8カ月、CDI(無期雇用)
  • 日本食レストランのマネージャー、週39時間勤務
  • 引っ越しのため自己都合の退職→合意による契約終了(rupture conventionnelle)
  • 退職前月に個人事業主(auto entrepreneur)の登録をした

補足:今年は自分で新しい仕事を始めようと準備していたので3月中旬に個人事業主(auto entrepreneur)の登録をしましたが、会社にはシンプルに引っ越しに伴う退職という理由だけで申告しました。しかし、本業との両方から収入がある人や、この状況が長くなる人は税金や就業規則でややこしいことになるかもしれないので個人事業主であることを申告しないといけないでしょう。

退職手続き

退職の申出

まず、私は今年(2024年)の2月ごろに具体的に退職を4月末に退職しようと決めました。一般的には退職の1カ月前が退職申し出の期限である会社が多く、私の勤務先もそうでした。ただ、ぎりぎりではない方がいいだろうと思ったので私は3月初旬に退職を申し出ました。

直属の上司はグルノーブルから遠く離れた他店舗にいたし、事務所もボルドーなので直接会っての申し出が難しい状況でした。なので、まずは電話で申告しました。普段はWhatsAppやメールでやり取りが多いので改まっての電話は緊張しました。語学力の面でも不安たっぷり。でも大事なことなので直接話した方がいいでしょう。

私は直属の上司と人事部長の2人に電話。会社内での人間関係は割と良好だったし、そもそもレストラン業界は人の入れ替わりが激しいので、残念がりながらもすんなり受け入れてくれました。その後、人事部長がオーナーに共有してくれたようです。

その時点では今後、店舗をどう引き継ぐか、新しいマネージャーはどうするかなど軽く話して終わりました。数日後、同店舗の同僚たちにも退職することを伝えました。

退職届の提出

退職を申し出たのは退職の約2カ月前でしたが、退職届は約1カ月前に提出しました。特に決まったフォーマットも無かったので、ネットで「Lettre de démission」と調べ、フランス政府のサイトが検索トップに出てきたのでそちらで作成したものを提出しました。名前や退職日など数項目を埋めるだけで作成できました。

退職届は、いつ退職するかを申告し退職日を過ぎたら従業員が受け取るの証明書などを発行してもらうよう依頼するような内容になっています。シンプルな内容ですが、ビジネスに適したフランス語や用語が必要になるのでサイトで作成できたのは便利だと思いました。

私の場合は署名したものをメールにPDF添付して送信という方法で担当者に提出しました。いつ提出したのか送信記録で証拠が残りますが、書面提出の場合は相手が受け取った記録が残る書留で提出するのが良いでしょう。

合意による契約終了(rupture conventionnelle)

退職はいろんな種類があって、わたしはシンプルに自己都合で退職だったのですが、その場合は退職後の失業手当は受給できません。日本では自己都合の退職でも待機期間が終われば受給されますが、フランスはその面では厳しいですね。

しかし、退職届提出後、オーナーが「合意による契約終了(rupture conventionnelle)」という退職方法を提案してくれました。これは雇用主と従業員が双方合意すればできる手続きのようで、この退職方法であれば失業保険の受給資格があり、補償金(退職金?)も支給されるのです。私はこの時初めて知った方法だったのですが、有名な手続き方法のようです。

一般的には退職する従業員が雇用主に頼むことが多いようなので、オーナーから提案してもらえた私はだいぶ幸運でした。

こちらの手続きは特に難しいことは無く、オーナーと話してこの手続きに合意すると回答したら、後日事務担当者から正式な手続き書類(rupture conventionnelle d’un contrat de travail à durée indéterminée)が送られて来ました。記載されていた在籍期間が誤っていたのでそれを修正してもらい、それに伴い受け取れる退職金の金額欄も修正してもらいました。署名返送する前に、内容はよく確認しましょう。

退職金の内訳などはこのあとまとめて記載します。

退職後の流れ

退職当日・受取書類

退職当日は事務手続きは特にありませんでした。日本で仕事を辞める時と同じように、自分の私物を持ち帰ったり、ロッカーを整理したり、同僚に挨拶したり、そういうことだけで事務手続きはありませんでした。貸与されていた制服は持ち帰って洗濯し、後日職場に返却しに行きました。

また、3日後に給与・退職金などの振り込みがあり、同時に下記の3つの書類をメールで受け取りました。

  • 最後の月の給料明細
  • Recu pour solde tout compte …退職時に支払われた金額の明細
  • Certificat de travail…就労証明書

これらは雇用主が退職者に発行しないといけない書類です。受け取って間違いが無ければ特に署名など手続き不要ですが、今後必要になりますので大事に保管しましょう。後日紹介する失業保険の申請にも必要になります。

退職時の受取金額

私の口座に振り込まれた実際の金額(控除後の手取り金額)は4809,25€(NET)でした。
詳細は後で記載しますが、内訳は下記の通り。こちらは社会保険料など控除前の金額(Brute)です。

支給内容 支給額(控除前)
最終勤務月(4月)の基本給
Salaire de base
2343,63€
最終勤務月(4月)の残業代
Heure supplémentaire
8,24€

最終勤務月(4月)の食事手当
Indemnité compensatrice de nourriture

182,60€
有給休暇の補償金
Indemnité compensatrice de congés payés
2208,42€
合意による契約終了に対する補償金
Indemnité compensatrice de rupture conventionnelle
1063,16€

控除前の金額(Brute)

5806,05€

①~③は毎月の給料と変わらない項目です。

④は未取得の有給があったので退職時に清算され、支払われた補償金です。私は20日ほど残っていたので上記の金額です。日数によって支給額は異なります。計算方法はフランス政府のこちらのページを参考に計算できます。
ちなみに、私は書類上の退職日まで勤務をして、残りの有給休暇を清算してもらう方法でしたが、夫は実際の勤務最終日の後、残りの有給休暇を消化して有給休暇最終日付けで退職という方法でした。私は特に会社と話したわけではなく、自動的に前者の方法になりました。というより残有給休暇のことはすっかり頭に無かったので思ったより多く支給されてラッキーと思いました。笑
私が調べた限りでは、フランスでは未取得の有給休暇の清算は会社の義務のようです。

⑤「合意による契約終了」をしたことによって支給された補償金です。退職前に署名した手続き書類に記載されていた金額と同じでした。受け取っていた給料や勤続年数によって金額が変わります。支給額を調べることができるシュミレーターがフランス政府のHPにありますので、対象の方は試算することができます。私も退職前に使用しましたが、実際の支給額とほぼ同じ額が試算されました。

まとめ

私は勤続1年8カ月、最初の1年はキッチンスタッフとして週35時間勤務しており、SMICかつ手当込みで手取り月給約1500€でした。その後、2年目にマネージャーになり週39時間勤務で手取り月給約2000€でした。退職時の支給額は状況によって大きく変化するので、私の事例はあくまで参考情報です。

退職の手続き自体は難しいことは無かったですが、退職後の生活にも関わることなので不安になる方もいらっしゃると思います。そういう方の今後の計画の参考になれば幸いです。

今回は退職手続きだけでも結構長くなってしまったので、後日改めて失業保険の申請について私の経験を紹介したいと思います。

ではまた