フランス最低賃金の給与明細公開 Fiche de paie~SMIC~

こんにちは。

フランスで働き始めて約2か月が経過。先日、2回目の給与明細(10月働いた分)を受取った。1回目(9月働いた分)は9月の月の途中から働き始めたので、今回の10月分の給与明細が、まるまる1か月働いた場合の満額支給された初めての給与明細だった。

今回は、フランスで働いた場合のどの程度の給与で、どれくらい控除され、手取りがどれくらいになるのかを私の給与明細を公開して紹介したいと思う。

雇用の条件(私の場合)
  • フランスでの現地採用
  • レストラン業界での雇われ人
  • 最低賃金
  • 週35時間のCDI契約

あくまで私の状況での給与明細なので、個人事業主や日系企業の駐在の方など状況によって変わってくるのでご了承を。

給与明細公開

下記の表が私のリアルな10月の給与明細。今回はシンプルに支給・控除金額の紹介をしたいので私に該当していない複雑な欄などは割愛している。また、日本語訳はGoogle翻訳を駆使した直訳なので、正確な名称ではないと思うが多めに見てほしい。

まず、表の緑部分が支給の欄。

基本給は151.67時間に対して、時給11.07ユーロをかけて計算される。

残業代は、基本給のレートより10%増で計算される。私は10月に5.5時間の残業をしたので基本が5.5になっている。その月の残業時間によってこちらの基本の数字は変わる。

最後に食事手当。日本では私は支給されたことが無かったが、フランスではレストラン業界は食事を現物を支給しないといけないようで、それをしない場合は手当として支給する決まりの様だ(業界によって取り決めがある)。私は賄いが出ないので、給与と一緒に手当として支給されている。

以上の合計が下記表の※Aとなる。この金額はあくまで控除前の額面の給与総額だ。

  Base
(基本)
Taux
(レート)
A déduire
(控除)
A paye
(支給)
Charges patronales
(雇用主負担)
Salaire de base
(基本給)
151.67 11.070   1678.99  
Heures supplémentaires 10%
(残業)
5.50 12.177   66.97  
Indemnité compensatrice de nourriture
(食事手当)
44.00 3.940   173.36  
※A Salaire brut
(額面給与)
      1919.32  
Complémentaire – Incap. Inval. Décès
(補充不能障害死亡)
1919.32 0.430 8.25    
Complémentaire – Santé
(補完健康)
3428.00 0.390 13.37    
Sécurité Sociale plafonnée
(社会保障上限)
1919.32 6.900 132.43    
Sécurité Sociale
(社会保障)
1919.32 0.400 7.68    
Complémentaire Tranche 1
(追加)
1919.32 4.010 76.97    
CSG déduct. de l’impôt sur le revenu
(一般社会貢献)
1907.35 6.800 129.70    
CSG/CRDS non déduct. de l’impôt sur le revenu
(社会的負債の返済への貢献)
1907.35 2.900 55.31    
Exonération sociale sur HC/HS
(残業と追加の減税)
66.97 -11.310 -7.57    
※B Total des cotisations et contributions
(控除合計)
    416.14   224.24
※C Net à payer avant impôt sur le revenu
(税控除前給与額)
      1503.18  
※D Impôt sur le revenu prélevé à la source – PAS
Taux non personnalisé
(所得税源泉徴収 非個人化レート)
1509.36 -1.3 19.62    
※E Net payé 
(手取り給与額)
      1483.56  

次に、赤部分こちらは控除の欄。日本でも年金や健康保険料が給与から引かれるがそれと同じイメージだ。社会保障が全く日本と同じではないので聞きなれない項目も登場しているが、私はざっくり「社会保障が控除されているんだな」と理解している。

その控除合計が※B。また、この控除合計は従業員負担と、雇用主負担の部分があるようで雇用主負担は給与明細には記載されているが給与から実際に引かれることはない。

ということで、※A 額面給与 - ※B 控除合計(雇用主負担は除く)= ※C 税控除前金額 になる。

そう、青部分の※Cはまだ所得税が引かれる前の金額なので実際に振り込まれる手取り給与ではない。※Dが所得税の金額なので、これを引いた金額が最終的な手取り給与額になる。

すなわち ※C 税控除前金額 - ※D 所得税源泉徴収 = ※E 手取り給与額

所得税について

ちなみに、フランスの所得税は日本と違い世帯の収入に応じて金額が決まる。また、日本では源泉徴収(給与天引き)が普通だが、フランスは2019年にやっと源泉徴収が始まったそうだ。その前までは、会社員を含む全員が春に確定申告で前年の収入申告して、秋に所得税額の通知がされて支払うシステムだったらしい。なので、前年の収入に対しての所得税を翌年に支払っていたということだ。

支払う時期については、日本の住民税と似ている。(ちなみにフランスでは住民税は最近廃止された。日本人からすると驚きだ。)

しかし、この納税の時期がずれることによって翌年に大きく収入が落ちた場合や定年退職した場合などに、収入が減ったタイミングで所得税も支払わなければならないというのが問題視されて、収入を得た月にその収入に対しての所得税を給与天引きするシステムに変わったという背景のようだ。この方が政府も未納を解消するのに都合がいいということだろうか。

しかし、夫の給与明細を見てみると0ユーロとなっており、所得税が給与天引きされていなかった。また、私の同僚もされていなかった。なぜ私は特に手続きしていなくても給与天引きになったのか調べた。

どうやら、※Dにあるように私は「Taux non personnalisé 非個人化レート」で設定されているからのようだ。これは、一般的には副業などで別途収入があり、それを含めたレートを会社に知られたくない場合などに設定するようだ。それに加えて、私の様に今までフランスで働いたことが無く過去に確定申告をしたことが無い人は過去のデータがフランスにないので自動で非個人化レートが設定されるようだ。

その場合の税率については収入によって異なる。2022年減税の非個人化レートをしらべるのはこちらのサイトを参考にさせていただいた。私の10月の給与は、※Dの課税対象額が1509.36ユーロなので、税率は1.3%となり19.62ユーロの所得税が控除されたという計算になる。

どうやら源泉徴収が始まったとはいえ、企業によっても違うようで、夫の様に月々の給与から所得税が引かれていない場合は、源泉徴収導入前と同じように来年の確定申告(源泉徴収されているか否かに関わらず全員行わないといけない)以降に納税しないといけないため、その分の預金を残しておく必要があるので注意だ。

有給休暇について

有給についても給与明細に記載がされていた。フランスは1が月働いたら2.5日の有給休暇が付与される。なので、働き始めた翌月から休暇が取得できるのだ。

下記が私の給与明細に記載されている有給休暇数だ。「Congés N」は今年に付与された有給休暇の合計が表示されているので、私の場合は9月分と10月分の2か月の合計である4.33日が記載されている。数字が中途半端なのは、10月分はは2.5日付与されたが、9月は月途中から働き始めたのでその分付与も半端な1.83日の付与だったからだ。
ちなみに、「Congés N-1」は前年に付与された日数と残日数だ。なので、働き始めたばかりの私は数字が無い。

  Congés N-1 Congés N
Acquis Pris
(付与日数)
  4.33
Solde
(残日数)
  4.33
まとめ

ということで、以上がレストラン業界(週35時間契約)で最低賃金で働いている私の給与明細のすべてだ。

食事手当込だと手取りで約1400ユーロの収入になり、有給休暇は月に2.5日付与される。最低賃金は定期的に見直しが行われるため、これは2022年11月現在の情報だ。

ブログの内容や説明は、あくまで私の調べた限りの情報なので、十分ではないこともあるかもしれません。でも、フランスでこれから働きたいけどどれくらい控除されて、手取りは実際どうなるの?という不安を抱えてる方の参考になったら嬉しいです。