こんにちは。
先日の日本一時帰国の為に、2025年1月に生まれた息子のフランス・日本両国のパスポートを取得した経験をシェアします。
日仏それぞれのパスポートの申請から取得までの流れをレポートしますが、今回は未成年者の初めてのフランスのパスポートとID取得編です。
フランスではIDカードも一緒に申請しました。
私が紹介するのは婚姻関係にある日本人とフランス人夫婦の間に生まれた子供(フランス生まれ)の手続きを、フランスで行う場合の流れです。
事実婚や未婚の場合は手続き方法や必要書類が異なると思いますのでご注意ください。
まず、前提の日仏両国の国籍の取得から説明していきますので、フランスのID・パスポート申請の内容のみ知りたい場合は目次から「日仏ハーフ フランスのパスポート・IDの申請方法」へスキップしてください。
日仏ハーフの国籍は?
まず、我が家は夫がフランス国籍・私が日本国籍なので息子は日仏ハーフとなります。
フランスでは重国籍が認められていますが、日本の法律では認められていません。
しかし重国籍となった時が18歳未満であれば20歳に達するまでは、両国の国籍を保有できるのです。
日本国籍に関する詳細が気になる方は法務省のHPに詳しく記載されていますのでそちらをご覧ください。
日仏ハーフ 両国の国籍を取得する方法
そもそもどうやったら日仏両国の国籍を取得できるのか?
それは両国へそれぞれに出生届を提出するというシンプルなものです。
ただ、フランスで生まれた日仏ハーフが日仏両国の国籍を保持するためには、日本へ出生届を提出する際に特別な対応が必要です。
では各国の出生届の提出方法について順に説明します。
再度言いますが、これは婚姻している日仏カップルがフランスで出産し、フランスで子供の出生手続きをする場合の事例です。
フランスの国籍取得方法
フランスでは出生から5日以内に市役所(病院によっては院内に手続き窓口が併設されている場合もあり)へ出生の届出をすることでフランス国籍を得られます。
これは「Déclaration de naissance」と言います。
フランスの出生の届出に必要な書類
①出産の証明書「Certificat d’Accouchement」
出産した病院で発行されます
②届出人・両親の身分証明書
母と父の両方の身分証(日本人側はパスポートもしくは滞在許可証が良いでしょう)。
届出人は子供の両親であることが多いと思いますので、その場合は両親の身分証があればOKです。
③家族手帳「Livret de famille」
出生届の提出と同時に子供の欄を追記してもらうために持っていきましょう。
届出場所・方法
出生地の役所(病院によっては院内に手続き窓口が併設されている場合もあり)に直接、上記書類を提出します。
私の出産した病院には出生届提出窓口は併設されてい無かったので、役所に提出しました。
ちなみに私たちの自宅の管轄は別の役所ですが、出生地は病院なので病院の管轄の役所に提出しました。
届出を行ったら家族手帳「Livret de famille」にも手書きで息子の情報が追加されました。
同時にパスポート申請に必要な書類も役所に依頼しましょう。
市役所で問題なく届出が終了すればフランスの国籍取得は終了です。
フランスの役所に依頼する書類
出生証明書「Acte de naissance」
日仏両国の手続きでも使うし、何かと必要になるので3部ほど発行依頼すると安心です。
※注意※
「Acte de naissance」には種類ありますが必ず全内容が記載されている「Copie intégrale」を依頼しましょう。
日本へ出生届を提出する際にこの「Acte de naissance」の添付が必要なのですが、その時に一部の内容のみが記載されている「Extrait」だと受け付けてもらえないからです。
日本の戸籍謄本と戸籍抄本の違いのようなものです。
この注意は在仏日本大使館のパスポート申請のページにも記載されています。
産後直後なので子供の母親以外、主に父親が行くことが多いでしょう。
市役所に行く前に上記の注意事項を伝えて、「Acte de naissance」は必ず「Copie intégrale」を依頼するように念押ししておきましょう。
日本の国籍取得方法
フランスでの出生日から3カ月以内に在仏日本大使館に届出することで日本国籍を得られます。
正確には「日本国籍の保留」を申告しないと日本国籍を得られませんが、詳しくは順に記載します。
また、届出から日本の戸籍に正式に登録されるまでは2カ月ほどかかり、そこから日本から戸籍謄本の取り寄せ、フランスからパスポート申請という工程を経なければなりません。
3カ月以内とありますが、日本のパスポートができるまで時間がかかるので、生まれてから早めの一時帰国を考えている方は産後早めに出生届を提出しておきましょう。
日本の出生の届出に必要な書類
①出生届…2通
大使館・領事館のHPにフォーマットがあるのでダウンロードして印刷しましょう。
記入見本も掲載されています。
※注意※
日本国籍を得るには、出生届の中にある「日本国籍を保留する」という欄に届出人の署名が必要です。
なぜかというと↓↓
2025年時点で日本の法務省のHPに下記のように記載されています。
「外国で生まれた子で、出生によって日本国籍と同時に外国国籍も取得した子は、一定の期間内に、日本国籍を留保する意思表示をしなければ、その出生の時にさかのぼって日本国籍を失うこと。」
法務省の示す「一定期間内に」というのは出生から3カ月以内です。
つまり、フランスで生まれてフランス国籍を取得した子供は、出生から3カ月以内に「日本国籍を留保」の意思表示をしないと日本国籍は得られないのです。
ではその意思表示はどうやって行うのか。
それが、出生届の中にある「日本国籍を保留する」という欄に届出人の署名をすることで行うことができます。
日本で入手できる一般的な出生届には「日本国籍を保留する」の欄は無いようですが、在仏日本大使館・領事館が提供している出生届にはあります。
もし証明を忘れて一時的に日本国籍がなくても、そういう人を救う他の方法があるようですがかなり面倒臭そうなので、出生届への署名を忘れないようにしましょう。
②フランスの出生証明書「Acte de naissance」…2通
フランスの市役所で発行してもらったもの。
1通は写しでも可。
③フランスの出生証明書「Acte de naissance」の和訳…2通
こちらも専用フォーマットが大使館・領事館のHPにあります。
和訳と言っても両親の名前や住所など簡単な内容を日本語で記載するだけなので難しくないです。
④届出人のフランス滞在許可証コピー…1通
多くの場合、日本人親が届出するでしょう。
我が家も私が届出人なので私の滞在許可証コピーを添付しました。
⑤日本人親のパスポートコピー…1通
これは在仏日本大使館のHPには記載がなく、リヨン領事館の方には記載がありました。
本当に必要なのか不明ですが、私はリヨンに届出するので一応添付しました。
余談ですが、息子の名前は姓名一つずつで、日本でもフランスでも名前は変わりません。
日本人と同じです。
ミドルネームやダブルネームの場合の出生届の書き方も大使館・領事館のHPに記入見本が掲載されていたので、該当の方はそちらを参考にされると良いと思います。
届出場所・方法
居住地域管轄の在仏日本大使館もしくは領事館に上記書類を直接もしくは郵送で提出します。
私はSavoie県に住んでいるのでリヨン領事館への郵送でした。
郵送の場合は書留郵便 「Lettre recommandée avec avis de réception」で送付しましょう。
私は用意できる書類は出産前に印刷・記入して、封筒と書留郵便の伝票と併せて準備しておきました。
そして、産後に夫がフランスの役所で取得してくれたフランスの出生証明書「Acte de naissance」を受け取ったら早めに郵送提出しました。
たしか出産の1週間後くらいに発送したと思います。
そして発送から1週間後くらいにリヨン領事館から電話がかかってきて、出生届に記載している日付が西暦だったので領事館の方で和暦に修正したと伝えられました。
それ以外は領事館では特に不備が確認されませんでした。
電話では、そのまま日本の本籍地の役所に転送されるとのこと、また問題なければ2か月後くらいに戸籍謄本に息子の情報が登録されるはずだということも併せて伝えられました。
息子が問題なく日本国籍を取得し日本の戸籍に登録されたかを確認するには、戸籍謄本を確認する以外に方法は無いようです。
私は出産の1週間後くらい(1月20日ごろ)に郵送で届出を行い、2カ月後(3月下旬)くらいに日本にいる母親が戸籍謄本に息子の名前があることを確認してくれました。
戸籍謄本で子供の名前が確認できれば日本国籍取得の流れは終わりです。
これで両国の国籍が取得できました。
日仏ハーフ フランスのパスポート・IDの申請方法
まず、フランスには名刺サイズのIDカード「Carte d’identité」が存在し、パスポートと同時に申請が可能です。
フランスでは身分証の所持は義務付けられていないし、乳児からIDが必要になる場面はそう多くないと思いますが、携帯できる身分証が一つはあった方がいいと思ったので、我が家は息子のパスポートとIDの両方を申請しました。
フランスのパスポート・ID申請から受取の流れ
流れは下記の通りです。
- オンラインで事前申請(必須ではない)
- 収入印紙を購入する・必要書類を用意する
- 市役所の予約を取る
- 市役所に行く(子供本人も一緒である必要あり)
- 市役所からの受取連絡を待つ
- 市役所に受け取りに行く(市によっては親のみの受取も可)
我が家は市役所で申請した日から4週間ほどで受け取りできました。
では流れを細かく説明します。
オンラインで事前申請を行う
先ほども記載した通り、事前申請は必須ではありませんし、正直私はどちらでもいいと思います。
なぜなら、結局事前申請が無駄になる場合も珍しくないからです。
私は事前申請していたのですが、夫が市役所に行くとシステムがうまく動かないので事前申請の情報が確認できないと言われ、結局現地で申請用紙を記入したのです。
フランスの役所あるある!
しかも記入もそんなに手間では無かったと夫は言っていたので、時間のある方は現地で用紙を記入でも良いと私は思います。
まぁ事前申請もややこしいことは無いので、アカウントを作ったりが手間でなければ、行政サービスサイトのこのページから行うことができます。
オンラインで事前申請を開始するとこんな感じで、「パスポートとIDの両方」「パスポートだけ」「IDだけ」のどの申請かを聞かれる画面が出てきます。

一番上の両方の申請を選ぶとパスポートとIDの両方の事前申請が同時にできます。
オンライン事前申請で申告する情報は子供本人の情報(名前、住所、身長、目の色など)と両親の情報(名前、生年月日、出生地など)です。
事前申請が完了したら「Récapitulatif」という申請内容とQRコードが印字された受付票のようなものが作成されるのでこれを印刷しておきます。
ちなみに、事前申請する場合は申請画面を順に進んでいくとその流れで収入印紙の購入(17€)することになるので次の「電子収入印紙を購入する」のステップを別途行う必要はありません。
電子収入印紙を購入する
IDの申請は無料です。
パスポートは0歳から14歳までは17€かかりますが現地で支払うのではなく事前に収入印紙をオンラインで購入しておく必要があります。
先ほども記載した通り、オンライン事前申請する場合は申請中に購入できるので別途この手順を行う必要はありません。
事前申請しない場合はこの行政サービスのサイトから収入印紙をオンライン購入することができます。
購入したら電子収入印紙「Timbres fiscaux électroniques」を印刷しておきます。
必要書類を用意する
書類は原本を提出・提示しなければなりません。
既に身分証を持っているか否かで必要書類は異なりますが、息子は「身分証を持っていない未成年者の初めての申請」だったので下記の書類を用意しました。
①パスポート・ID用写真…2枚
政府が承認した写真撮影ブースまたは写真家にて、パスポート基準に適合した写真を撮影する必要があります(6ヶ月以内に撮影)。
パスポート・IDそれぞれ必要なため合計2枚用意しました。
こちらの行政サービスのページから、対象の写真撮影場所を調べることができます。
息子は生後2か月の頃に写真屋さんに行って撮ってもらいました。6枚カットで10€以下でした。
写真撮影ブースで自力で撮るとなると、顔の角度や目を開けるタイミングなど難しいし、折角撮っても申請時に却下されたら無駄になるので赤ちゃんの場合はプロに撮ってもらうのが安心だと思います。
②3 か月以内に発行された出生証明書…2部
これは市役所に発行依頼したものです。
結果的には1部しか必要ありませんでしたが、パスポートとIDの申請の必要書類にそれぞれ記載されていたので念のため2部用意しました。
担当者によって言うことが違うのはフランスではよくあることなので多いに越したことはないでしょう。
③1年以内の居住証明…2部
居住証明は家賃や公共料金の明細などを提出して、本人がその住所に住んでいることを証明する書類です。
住所と本人の名前が証明に記載されている必要がありますが、赤ちゃんの名前が居住証明に記載されていることはほぼ無いのでその場合は同居の両親の証明でOKです。
なので、我が家は夫の名前で届いた保険会社の書類を提出しました。
こちらも出生証明と同様の理由で2部用意しましたが、1部しか必要ありませんでした。
④法定代理人の身分証明書
これは両親どちらかの身分証明書です。
我が家は一応私のパスポートと夫のIDをの両方を用意しましたが、申請に行った夫のIDしか必要ありませんでした。
⑤事前申請の際に取得した番号またはQRコード
事前申請完了時に発行される「Récapitulatif」という申請内容とQRコードが印字されたものです。
事前申請していない方は不要です。
⑥電子収入印紙「Timbres fiscaux électroniques」
収入印紙をオンライン購入した際に発行される電子収入印紙「Timbres fiscaux électroniques」です。
オンライン事前申請をしている方は事前申請完了時に発行される「Récapitulatif」に収入印紙番号が印字されるので、別途電子収入印紙「Timbres fiscaux électroniques」の用意は不要です。
市役所の予約をとる
オンラインで事前申請していたとしても結局は必要書類を持って直接市役所に行かなければなりません。
子供本人と法廷代理人(多くの場合は親)が、登録窓口が設置されている市役所に行く必要があります。
住所登録をしている市役所でなくてもOKです。
フランスの行政手続きサービスのHPでは、郵便番号を入力することで近隣の受付窓口のある市役所を調べることができます。
日本だと遠くのパスポートセンターまで申請・受取に行かないといけないですが、フランスは近い市役所に行けばいいので便利です。
私もド田舎ですが、近くの市役所で手続きできたので助かりました。
多くの市役所は予約が必須なので、該当の市役所のHPで確認しましょう。
大概の場合は市役所HPのトップページに「Une carte d’identité / Un passeport」という項目があるのでそこから手続き方法を確認したり予約を取ったりできるようになっています。
私の利用した市役所はオンライン予約時に、パスポートとIDの両方もしくはパスポートだけ、IDだけの申請か選択する項目があったので両方で予約を取りました。
市役所に行く
予約した日時に手続きをする市役所に行きます。
必ず本人である子供も一緒に行かなければなりません。
係員の指示に従って必要書類の提示と事前申請していない場合は申請書の記入を行います。
夫が手続きに行ってくれましたが特に複雑なことはなく、申請書の記入漏れがないかや、書類が揃っているかなどを確認し15分程度で終了したそうです。
後は完成の待つのみです。
市役所に受け取りに行く
申請日から4週間ほど経過したころに、息子のパスポートとIDができたので取りに来るようにSMSで連絡が来ました。
連絡先を私にしていたので私にSMSが来ました。
申請時に、受取時は予約不要で子供本人も来なくても大丈夫と説明されていたので夫のみで受け取りに行ってもらいました。
これは市役所による可能性があるので申請時に確認しておきましょう。
受け取りは夫の身分証を提示したくらいで、追加の支払いも特になく、完成した息子のパスポートとIDの印字内容に誤りがないかを確認し受け取って終了でした。
まとめ
国籍の取得からパスポートを受け取るまでは幾つかステップを踏む必要がありますが、1つ1つは難しくありませんでした。
我が家は息子が生後10か月で日本一時帰国することを決めていたので、手続きの期間には余裕がありました。
しかし私は「息子を連れて急遽日本に行かなければいけない状況になるかも」みたいに起こってもいないことを心配する癖があり…生まれたら早め早めに申請手続きをしました。
それでも両国のパスポートが出来上がったのは生後4か月半ほど経過してからでした。
すでに書きましたが、特に日本の出生届は早めに提出することをお勧めします。
フランスの手続きは、パスポート申請に発行から3カ月以内の出生証明書が必要なので、フランスの出生届を提出して出生証明を取得したら、3カ月以内にパスポート申請しましょう。
当初予定していなかったフランスのIDの発行も一緒にできたのは便利だったと感じます。
さて今回は、日仏ハーフ赤ちゃんのフランスのID・パスポート申請について書きました。
次回以降に日本のパスポート申請について詳しく書きたいと思います。
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